共命鳥行列・太平洋戦争開戦75周年全戦没者追悼法要 

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師走が始まりました。

つい先日まで青空を背景にまばゆく輝いていた銀杏の葉も大方散ってしまい、秋は徐々にフェードアウト、街は本格的な冬を迎えようとしています。

これより、年越しまで様々なビッグイベントが目白押しでありますが、それまでに我々は12月8日という日を通過せねばなりません。

12月8日、その日を迎える人の思いは様々です。たとえば、ビートルズファンにとってはジョン・レノンの命日、仏教徒にとってはお釈迦様が悟りを開かれた「成道会」。そして、日本にとっては太平洋戦争開戦の宣戦布告となった「真珠湾攻撃」(1941年)の日です。この奇襲作戦をきっかけとして日本の戦局は泥沼化、最終的にヒロシマとナガサキに原子爆弾が投下されることとなりました。

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広島市西区草津の教専寺前住職、故選一法師は、今年が太平洋戦争開戦75周年に当たることを受けて、全戦没者追悼法要の修行を発案。その背景には、本年5月27日、オバマ米大統領が平和公園に来園し慰霊碑に献花の上、全戦没者に対して追悼の意を表したことにあります。

この歴史的な日が実現するきっかけとなったのは、浄土真宗本願寺派門徒の森重昭氏(己斐 光西寺門徒)の存在だと言われています。森氏は、被爆死した12名の米兵捕虜の調査を30年以上に亘って続け、その遺族との交流を温めてきました。森、オバマ両氏の抱擁する写真は記憶に新しところです。

故選師は、国や政治の立場を超えて戦没者を悼む両氏の真摯な姿勢に胸を打たれ、この節目の法要を思い立たれました。そしてこの度、『仏説阿弥陀経』に説かれる「共命鳥(ぐみょうちょう)」の逸話(※)の通り《憎しみを超えて他を生かす道こそが平和の原点になる》と、その願いを込め、戦中まで平和公園慰霊碑横に在した淨寶寺本堂において法要が営まれることとなりました。

第一部は「共命鳥おりがみ」(折り鶴の尻尾を折って双頭にしたもの。㊦写真参照)を手に、午後2時より平和公園慰霊碑参拝後、行列を組んで淨寶寺へと向かいます。

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第二部は、その「共命鳥おりがみ」を本堂に奉献し、午後3時頃より全戦没者追悼法要を修めます。

現在法要参加予定者は180名。

ご参拝は自由ですので、ご参加頂ける方は淨寶寺まで、是非ぜひ、ご一報下さい(電話:082-241-1586、または当ホームページ「お問合せフォーム」をご利用下さい)。

 

※共命鳥(ぐみょうちょう)の逸話

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 『仏説阿弥陀経』に、お浄土に住んでいる鳥の名前が六つ出ています。その中に「共命之鳥」といい、美しい羽を持ち綺麗な声で鳴く鳥がいます。身体が一つで頭が二つあると言われています。奇妙に見える鳥ですが、大切な仏様の法を説いています。
昔、多くの共命之鳥の中でも、とりわけ素晴しい鳥がいました。しかし二つある頭の何れもが「私の頭の羽毛は比類なく美しく、声も世界一美しい」と主張して、やがて互いは憎しみ合い、争うようになりました。遂には「片方さえ亡きものにすれば、この私が世界一になれる」と、ある日、秘かに食べ物に毒を混ぜ、もう一方に食べさせました。しかし、頭は別々でも入るお腹は一つです。結局、共命之鳥は二つの頭もろともに死んでしまいました。
この愚かな事件があってから、お浄土の共命之鳥は「他を滅ぼす道は己を滅ぼす道、他を生かす道こそ、己の生かされる道」と鳴き続けているということです。

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