スリランカ滞在記(30)

日本が誇る伝統工芸、金箔職人。

金箔職人は僅か1グラムの金箔を、1万分の1㎜の薄さまで打ち拡げるという。

その広さはおよそ33平米。何というコストパフォーマンス。

そして、この「スリランカ滞在記」、その滞在期間は五泊六日のツアーながら、飛行機での移動時間を除けば、僅か4日と半日。

誰がこの度、第30回目を迎えることなど予測できたでしょうか。

果てしなく薄く、長く、まさにブログの金箔職人芸。

本題です。

スリランカの伝統的治療「アーユル・ヴェーダ」を受けた我々ツアーメンバー三人は、半裸のまま油まみれになりながら、小型のサウナへと詰め込まれ、はからずも互いの肌を密着させていたのでした。

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ところがサウナと思いきや、一向に熱くなりません。それどころか身体が冷えてきました。南国スリランカなのに。

故障か?ならば、どうやってそれを伝えようか・・・と思案をしていたところ、ガラス越しに、サウナの前を通りがかった従業員の女性が立ち止り、一瞬「アチャー」という表情を見せて箱の外面にあると思われる何某かの装置を操作する様子が見えました。

ブイーン、と案の定音がして徐々に温かい空気が流れ始めました。スイッチ入れ忘れっとたんかい。

ところが今度は熱くなりすぎ。となりのツアーメンバーが、

「はよ出せや(熱)」

と苛立ってまいりました。その怨念が通じたのか、間もなくして従業員が扉をあけ、メンバーの一人に人差し指でコイコイをしました。先ず一名釈放です。

それから5分くらいは経ったでしょうか。漸く従業員が扉を開けてくれました。私の番か・・・

「よっしゃ!」

コイコイをされたのは苛立ち指数マックスのほうでした。二名釈放され、ついに残ったのは私一人。鬼界島においてけぼりの俊寛の気分。

時間が過ぎていきます。しかし、今度は5分過ぎてもやってきません。苛立ちが不安に変わります。もしかして、僕って忘れ去られてません?

その時、ようやく三度扉が開きました。辛うじて覚えてくれてたみたいです。やっとコイコイされる、と思ったら、その従業員はアゴで「出ろ」的なしぐさをし、私を別室へと誘ったのでした。

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かまぼこ型の不気味な棺桶のような箱に薬草が敷き詰められています。恐らく、あの中に寝かされ、点心の要領で蒸されるんでしょう。

それが熱いのなんの。ううっ~っと思わず呻いてしまいます。

少し離れたところでは従業員がたむろして談笑しています。なるほど先程私が取り残された理由が分かりました。しかし、今回も中々出してくれません。話は盛り上がっている模様です。もしかしてこの至近距離で忘れ去られてる??

ピッピッピ

電子音が鳴りました。従業員がやってきて蓋を開けてくれます。一応アラームで時間はかってたんですね。涼しい風が体を包みました。ああ、かまぼこが棺桶にならなくて良かった。私はついに解放されたのです。

アーユル・ヴェーダ、どうやらこれで終了のようです。

ハーブ油でツボ刺激→オイルマッサージ→サウナ→ハーブ蒸し

と、これが施術の内容なのでしょう。料理のレシピか。

しかしながら、身体は依然油まみれ、このままでは着る物触るもの全てを油でべたべたにしてしまいます。私はシャワー室へと案内され、一枚の薄いタオルと、消しゴムみたいに小さな石鹸を渡されました。

「こんなんで油が取れるかっ!」

と石鹸を渡された私が真っ先に思ったことを、先にシャワーを浴び始めていたメンバーが叫びました。やっぱり取れないんですね・・・

それでも石鹸を最大限使い切り、なんとか人前へ出れる状態でシャワー室を後に。

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外へ出ると辺りはすっかり暗くなっていまいした。

さて、これが私の貴重な本場スリランカでの「アーユル・ヴェーダ」体験記です。

その印象や効果については文脈から推し量って頂ければと思います。

因みに一緒に受けた女性メンバーは、よかったよかったと、かなり好評だった模様。

いずれにせよ、遠い異国での体験は、いかな体験と言えども思い出という「宝」になりますね。

なんだか、滞在記の締め括りのような言葉が出てまいりましたが、とんでもございません、「スリランカ滞在記」まだまだ薄く、長く続きます。

【続く】

 

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