レオナルド・ダ・ヴィンチ&ミケランジェロの開示
只今、袋町の旧日本銀行広島支店において、展覧会「Leonardo Michelangelo レオナルド・ダ・ヴィンチ&ミケランジェロの開示」が開かれています。(開催期間:12/8~12/18まで。入場無料)

アーティストは碓井真行師。東京芸大油絵科卒、広島市内真宗寺院の住職でもあります。
リーフレットに記載された画家のメッセージによれば、
「私は2004年から2014年の間レオナルド・ダ・ヴィンチ&ミケランジェロと対話してきました
この度は対話の内容をphotoにして表現しました
是非ご高覧下さい」
とあります。
およそ11年の歳月ですから、対話(もちろん言語のみに限らないと思います)の内容と言っても膨大なものでしょう。
ですから、今回の展示は、そのエッセンスを加工写真に託し、表現されたものだと拝察します。

館内に入ると、左手には巨大なフォトが!もちろん世界一有名な女性の顔です。
常と異なる点は額から眉間にかけて顔を二つに分けるペイント。画家によれば、「モナ・リザ」の表情に、ダ・ヴィンチとその弟子サライ、二つの面影を見い出したとのこと。
ダ・ヴィンチは終生「モナ・リザ」を傍らに置き、筆を加えていたといいます。サライはダ・ヴィンチの愛人と言われていますので、自分とサライを永遠の美の中でひとつにしようと試みていたのでしょうか。そんなストーリーが掻き立てられます。

これはダ・ヴィンチ晩年の自画像。穏やかに瞑想している老人に見えますが、実物は物憂げに眼を見開いています。
涙袋の上でトリミングされているため、目を瞑っているように見えるのです。ダ・ヴィンチの意図か偶然か。
何れにせよ、ダ・ヴィンチの描く人物は、ひとことで言い表せない複雑な感情を宿しており、それが神秘的な印象を与えているように感じるのですが、それはもうひとつの表情をギミック的に描いているからなのかもしれません。

上は、クリックして拡大して頂くと、よく分かります。これもだれもが知っている、ダ・ヴィンチの超名画「最後の晩餐」。
「天井のアーチが、ダ・ヴィンチの描いた頭蓋骨と重なった」とは画家の言。確かに違和感なく美しくコラージュされています。

その頭蓋骨を、こんな風に布でアレンジして、真ん中で分け、「最後の晩餐」卓上に分け入れるように工夫されています。面白い!

そしてこれは、画家が展覧会開始一週間前に、突如として啓示のように閃いたという作品。
向かって左はダ・ヴィンチ「荒野の聖ヒエロニムス」を180度回転させたもの。右は、フランドルの画家、ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」から夫の顔をクローズアップしたフォト。
ファン・エイクはダ・ヴィンチの生まれる10年ほど前に亡くなっていますし、国籍も違うので直接的な接点はありません。
しかしながら、ファン・エイクの名声はヨーロッパに轟いており、ルネサンスの先駆けとも言われる天才的な画家だったようです。「アルノルフィーニ夫妻像」には〈ヤン・ファン・エイクここにありき〉とキャンパスの中央に堂々と記されており、その自信の程が窺えると言われています。
ですから、ダ・ヴィンチも同じ天才として、ファン・エイクを大いに意識していたのではないか。
ところで、聖ヒエロニムスの画題には、頻繁に登場するアイテムがあります。それは、砂漠で救った棘に苦しむライオンと、枢機卿という高い地位を示す赤い帽子だそうです。
ダ・ヴィンチ「荒野の聖ヒエロニムス」の原画には、ライオンが描かれているものの帽子が見られません。最も、未完の作と言われているので、致し方ないのかも知れませんが・・・

おや?聖ヒエロニムスの周りの影が、お隣の帽子とシンクロしています!
帽子があった?!
私には全く思いも寄らない方法で、ルネサンス前夜の天才と、ルネサンス真っ只中の天才が横並びに。
しかし、この表現の地層には11年間の対話の堆積があるのです。
一生自分では思いもつかないような、閃き、発想、感性に出遇う。それがアートの最高に面白いところではないでしょうか。
その他、いろいろな作品。
豊かで驚きに満ちた展覧会でした。
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