スリランカ滞在記(40)

前回、「スリランカ滞在記(39)」において、我々一行は、ついにスリランカの魂ともいうべき「仏歯寺」を足を踏み入れ、そして、その心臓部ともいうべき「仏歯」が秘蔵されている仏殿の前へと辿り着いたのでした。

(仏歯については「スリランカ滞在記(23)」をご参照下さい)

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あの黄金に輝く扉の向こう側に、スリランカの精神的中枢がある。ようやく我々はこの旅の核心へと、今まさに到達しようとしているのです・・・

と、ここまで進んだ「スリランカ滞在記」ですが、以後、今日に至るまで2ヵ月以上放置状態。諸般の事情(主にヤル気の問題)により停滞しておりましたけれども、遂に記念すべき40回目を数えました。

思えば、今から1600年ほど前、還暦を過ぎて中国から印度へと仏典を求め旅立ち、その素懐を遂げた後も、さらなる仏典を求めて単身スリランカへと渡った僧、法顕三蔵。

そして、スリランカの伽藍の玉像に商人のもたらした祖国の扇が供えてあるのを目にし、思わず望郷の念に駆られ悲嘆の涙を流した法顕三蔵。

超人的な体力と知力を持ちながらも、情に厚く涙脆い人間的な法顕三蔵に惹かれ、いつかはスリランカを訪れてみたいと密かに希望を抱いておりましたが、遂に「スリランカ滞在記」第40回目にして、その法顕三蔵が実際に見て礼拝したという「仏歯」を目の当たりにしようとしているのです。

かつて法顕三蔵は、釈迦が法を説いた印度の霊鷲山に登り、その名残を偲んで泣いたといいます。私も「仏歯」を前にし、1600年前の高僧を偲んで涙を流すこととなるのでしょうか・・・

しかしながら、聖なる「仏歯」は扉の向こう側。そして扉が開かれる時刻は毎日決まっており、今はその時に非ず。しかたなく私は、この仏殿の周辺を調査することにしました。

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先ほどの写真は二階です。㊤写真は階段を降りる途中で撮影したもの。中央奥にある建築が仏殿です。つまりこのお寺は入れ子のような構造になっており、その中心部に「仏歯」を納めた仏殿が建てられているのです。

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仏殿一階部分。巨大な像の牙が守護神のように侵入者を阻み建物を守っているように見えます。

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仏殿側面の写真。建物の中に建物があるという入れ子のような構造がお分かりになられると思います。

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仏殿は一階が石造りで、二階が木造というハイブリッドな建築となっている模様。

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壁や柱、天井には緻密な模様や絵がびっしりと描かれています。

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「仏歯」が納められている二階部も丁寧に彩色されています。

さすが、スリランカの至宝「仏歯」を納める仏殿。極めて繊細で高度な美意識、豪華絢爛かつ厳かなオーラを放っており、息をのむ美しさです。

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仏殿はどうも三層からなっているようです。いや、それとも一番上の屋根は天蓋(高貴な人の上にさす傘のようなもの)かも知れません。

と、ぐるりと一周してみましたが、なにも収穫はありませんでした。

壁一枚隔てたあの場所に「仏歯」がある。しかし、その壁は箱根のお関所のごとく立ちはだかり、容易に越えられるものではなかったのです。日本からはるばるやってきながら、断念せざるを得ないのか・・・落胆しながら仏殿を後にした私・・・

しかしながら、その後、思わぬ場所、思わぬかたちで、私は「仏歯」と対面することとなるのです。

【続く】

 

 

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