スリランカ滞在記(42)

激しく水しぶきを上げる渓谷の急流も、やがて緩やかな流れとなり、凪いだ海へと導かれていく。

自然の摂理であります。

一昨年の九月より始まった「スリランカ滞在記」も、当初は激流の如く回を重ねておりましたが、次第に大河の流れのように緩慢な更新となり、今や川で申すならば河口部辺りというところでしょうか。海流と川がぶつかり流れが停滞している…そんな風にこの滞在記をイメージして頂ければいいんじゃないんでしょうか。

と、滅多に更新されなくなった理由を母なる自然の摂理になぞらえてご説明申し上げたところで、まいります!42回目。

私は、本滞在記最大の目玉にして目標、あの「怪物」法顕三蔵もご覧あそばされたという、スリランカの至宝「仏歯」を目前にしながらも、厳重かつ荘厳な仏殿の守護に阻まれ、志半ば撤退を余儀なくされたのでありました(スリランカ滞在記40)。

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しかし、ここは日の本の国より7500㎞彼方の地。二度、三度と足を運ぶ余裕など考えられません。法顕三蔵の如く何かしらの成果を持ち帰らねば・・・

と、力んでも仕方ないし、この研修旅行の団体にとっても仏歯寺にとっても迷惑な意気込みなので、一観光客に戻って大人しくガイドさんの案内についていきます。

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ここは先ほどの仏殿の裏の伽藍、たくさんの仏像がご安置されています。

そして、写真上部をご覧ください。柱と梁の間に金のゾウさん。

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ご本尊付近にはゾウの牙で装飾、或いは護られているようです。

仏歯寺とゾウは切っても切れない関係なんでしょう。

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同じ伽藍、ご本尊の反対側、何やら黄色いロープで結界が張られています。中には色とりどりの、ふとん?

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関係者らしき方が、まめまめと立ち働いています。

ガイドさん、あのふとんみたいなの何ですか?

ガイドさん「ふとん?(はあぁ?という感じで)、違うよ、アレ衣装ネ。」

私「衣装?何のですか?」

ガ「ペラヘラ祭りで使うノヨ。」

私「へえ~」

とガイドさん多少お疲れ気味か、何となく素っ気ないので、へえ~、と言って済ませた私。しかし一体だれが何故着るのか実は気になります。ともかくも、仏前に集められていることからすれば、聖なるものであることには違いないでしょう。やはり「ペラヘラ祭り」か。字面だけ見るとかなりユルいお祭りがイメージされますが、実は神聖なものであることが窺えます。

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さて、伽藍を後にして、我々一行は屋外へと出ました。大きくて長~い屋根の下、夕暮れ近い陽の光が柔らかく射し込んでいます。人々は寝ころびくつろぎ、あくびが聞こえてきそうです。休憩所かな?って思ったら、前方でガイドさんの「集会所ネ」という声。かつてここで重大な会議を開いたそうです。筒抜けか。

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集会所のそばでは、子供たちが何やら怪しげなものをいじっています。フラフープのようではありますが、円の真ん中を仕切るように棒が付いています。そして周囲には薄汚れたお手玉のようなものが等間隔で配置されているという、実に奇妙なもの。スリランカの子どもたちにとっては定番の遊び道具か。しかし遊んでいるというよりもメンテしているという感じです。その不可解さは、ふしぎ発見のラストミステリーにできそうなほど。これらも「ペラヘラ」的なものなのでしょうか。

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夕涼みをしている家族連れと目が合いました。カメラを向けると子供らが手を振ってくれました。どこの国の子供も、邪気なく愛嬌溢れ、かわいいものです。

陽は沈みつつあります。これから我々一行は「仏歯寺」を離れ、キャンディ最初の拠点「ピザハット」へと戻ります。

そしてそこで、これまで綴った「ペラヘラ」の謎が次々と回収されていく様を、我々は目の当たりにするのでした。

(続く)

 

 

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