痛感

つい先日、日本人女性の平均寿命が86.41歳と、世界一に返り咲いたとのニュースがありました。男性は79.94歳。平均すれば、約83歳!大したものです。因みに平均寿命ワーストはWHO統計によると、シエラレオネ(アフリカ西海岸にある小国)の47歳ということでした。

しかしながら、長かろうが短かろうが寿命は寿命。人は永遠に生き続けることはできません。寿命が尽きる前に、人は後世に何を伝えるべきか・・・遺さねばならない記憶、忘れてはならない記憶があります。

写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は変わって・・・

上の写真は、本日、平和記念公園内の国際会議場で開かれた、国際平和シンポジウム「核兵器廃絶への道〜核兵器の非人道性と被爆体験の伝承〜」の模様です。そのテーマの通り、「被爆体験の伝承」の現在を、様々な視点から示唆する内容となりました。

パネリストの一人、成田龍一さん(1951生まれ、日本女子大学教授、戦争文学の専門家)によれば、戦後間もなくの被爆体験談は、同時代を生きた人との「共有」が主題でした。その後、戦後生まれの世代が成長していく過程で、被爆体験談は戦争時代の「証言」へと変化します。そして戦争を知らない世代が時代の中心を荷ない、被爆者自身の寿命が尽きつつある現在、被爆体験談の主題は「伝承」へとかたちを変えました。

人類を破滅させる核兵器の廃絶には、その恐ろしさを伝える被爆体験の伝承が不可欠です。如何に記憶を継承していくか。デジタル時代の今、被爆体験の伝承形態は多様化しています。パネリストはそれを象徴する方々で構成されていました。

成田龍一さんは「原爆文学」の研究を通じて、被爆体験伝承の未来を構想されています。

渡邉英徳さん(1974年生まれ、首都大学東京准教授)は、インターネット上に「ヒロシマ・アーカイブ」を展開。百聞は一見にしかず。ぜひこの驚きのコンテンツを体験してみてください!!➡http://hiroshima.mapping.jp/

アンドル・ゴードンさん(1952生まれ、米ハーバード大学教授)。「東日本大震災デジタルアーカイブ」(http://jdarchive.org/ja/home)を構築。この経験を生かし、ネット上で、だれもが大惨事の情報や記憶を共有し対話できる公共空間の創造を目指しています。

外出の不自由な被爆者の方々の被爆体験を受けとめ、8月6日の灯籠流しを代理で行うボランティア「ピース・ポーター・プロジェクト」(ttp://www.hiroshima86.com/)に設立当初から携わる、保田麻友さん(1985生まれ、会社員)は、広島市の主催する「被爆体験伝承者養成事業」に参加。被爆者の方々と直接向き合いながら、伝承のあり方を模索する日々を送っています。

「原爆はもちろん、戦争も知らない世代が果たして被爆体験を伝承し語り得るのか」・・・そのような批判はもっともですし、重たい課題でもあります。

しかしながら、各々何らかの使命感に突き動かされ、素晴らしい成果を達成されているパネリスト達の姿を拝見すると、

「四の五の言わず先ず行動」

・・・だなと

シンポジウムで基調講演「核兵器の非人道性と非合法化に向けた取り組み」を担当した、パトリシア・ルイスさん(1957年生まれ、イギリス王立国際問題研究所安全保障研究部長)が結びで引用された言葉が印象に残ります。

 

《一番恐ろしいのは「無知」ではない。「知っているとの思い込み」である》

                     byスティーブン・ホーキング博士

 

これは、当然私も含め、全ての「行動しないひと」が咀嚼すべき内容ではないか・・・

「痛感」でありました。 

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