継承

昨日、12月7日、平和記念公園内の広島国際会議場で開催された、国際シンポジウム「広島・長崎の記憶 世界と共に考える次世代継承の道」を聴いて来ました。

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シンポジウム場内は満場!感心の高さが窺えます。

 

 

 

 

 

世代交代が進む中、負の歴史の記憶は、実際にそれを体験された方々の寿命と共に薄まりつつあります。

「のど元過ぎれば熱さ忘れる」

人類は、また同じ過ちを繰り返すのか。

そんな課題について、本シンポジウムは「ジェノサイド」と表現されるような世界の大虐殺の歴史、その記憶の継承の実践を大きなテーマに据えて開かれていたように思います。

ヒロシマ・ナガサキにおける原爆被害の継承活動はもちろん、「ジェノサイド」の歴史を背負う国家において、その継承活動に身を捧げている方々の生の声が聴かれました。

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シンポジウムの様子(画質がわるくてスミマセン・・・)

 

 

 

 

 

パネリストをご紹介すると・・・

【中谷剛さん 1966生まれ 日本人 ポーランド在住、通訳・翻訳家】

第二次世界大戦中のユダヤ人大虐殺の爪痕を伝える、「ポーランド国立アウシュヴィッツ博物館」で日本人唯一の公認ガイドを務めていらっしゃいます。中谷さんは、縁もゆかりもない異国の負の歴史を伝える時、「代弁者」に徹すると言います。ホロコースト経験者に接して聞いた体験談だけでなく、身振り手振りに至る感情表現まで注意深く観察して吸収し、体験の代弁を行っています。

尚、ユダヤ人大虐殺は当時欧州在住およそ1100万人の内、半分以上に当たる600万人近くが犠牲となったということです。恐ろしい歴史的事実です。

 

【ソピアロム・チェイさん 1981年生まれ カンボジア人 トゥール・スレン・ジェノサイド博物館副館長】

1975年から79年まで続いたポル・ポト派政権による大虐殺の犠牲者は200万人近く。カンボジア人口の10%以上に当るということです。チェイさんが副館長を務める博物館は、当時の政治犯収容所でした。カンボジアでは、ジェノサイドから半世紀も経っていないにもかかわらず、その記憶は急速に失われつつあると言います。チェイさんは、特に若い世代を中心に記憶の継承を推し進める中、広島平和研究所と交流を深めるなど、国際的な幅広い視野で活動を展開されています。

 

【イヴ・カムロンジさん 1981年生まれ ルワンダ人 キガリ・ジェノサイド記念センター副センター長】

1994年は広島がアジア競技大会で湧いた年。同じ頃、中部アフリカのルワンダでは、フツ族過激派による、対立するツチ族及びフツ族穏健派の大虐殺が勃発しました。銃で射殺され、或は炎で焼かれ、鉈で切り刻まれた犠牲者は、僅か100日間で80〜100万人に及んだと言われています。

それは、20年前の出来事。現在でも、多くの人々がジェノサイドのトラウマに苦しめられているそうです。そんな中、ルワンダの教育の現場では、驚くべきことに、ツチ族とフツ族の子供達は同じ教室で机を並べ、過去の歴史を学んでいると言います。

ルワンダのジェノサイドは異民族間の憎悪感情に基づくだけのものではない、大国間の政治的な思惑も密接に絡んでいる。加害者であれ被害者であれ、個人においては巻き込まれたとしか言いようの無い時代の背景がある・・・

カムロンジさんの発言からは、怨憎を超え、理性によってジェノサイドのトラウマを克服し、かつ民族の和平と国の発展の実現を見据えた強靭な精神を感じました。

ー犠牲者を悼みつつ、過去の過ちを詳細に検証し、なぜ悲劇が引き起こされたのかその原因をつきとめ、二度と繰り返さないような知恵を見出し保ち続ける。そんな困難な作業を引き受け、身を捧げ実践されている皆さんの姿には、感銘を受けざるを得ませんでした。

 

 

 

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