先入観

本日の写真 のコピー 2 夕方、広島県立美術館に行ってきました。

ありがたいことに、金曜夜は午後8時までの開館です。

目当ては「ゴッホ展」。

ゴッホ氏というと、狂気にも似た才能に絵筆を任せ、キャンバスに絵の具を塗りたくり、一気に作品を描き上げる、なんていうイメージでしたが、実際は様々な手法を研究して貪欲に取り入れたり、透視図法を駆使して構図したりと、大変緻密な画家さんでした。やはり世界的な芸術家です。確かな技術があったんですね。

そんなゴッホ氏の生前に売れた絵は、2000点中ただ一点のみ。時代性というものは非情であります。

しかしながら、来館した人はみな、画面に吸い込まれるように見入っていました。特に自画像などは思わず目が釘付けになるほどの吸引力。透視図法の効果か。正面をじっと見据える深い眼差しには、どんな感情を表現する言葉も当てはまらないような気がします。言葉を超えた精神の表現が、絵画の上に実現しています。

展覧会の最後は「ヤマウズラが飛び立つ麦畑」という作品。麦畑すれすれに飛ぶ一羽の鳥が、画面中央に小さく描かれています。畑は風にゆられ、空は青く、雲が点々と流れています。一羽の鳥は自由なようでもあり、孤独なようでもあります。淋しそうでもあり、楽しそうでもあります。やがて風の吹く音が聴こえ、土地の匂いが漂ってくるような錯覚を覚えます。もっとも麦畑がどんな匂いなのが嗅いだことはありませんが・・・ともかく、心の何かの琴線にやわらかく触れる印象深い作品でした。

と、偉そうな感想を書いてしまいましたが・・・今日の展覧会を楽しめたのは、それもこれもゴッホ氏の素晴らしさを紹介して下さった方々がいらっしゃるからでしょう。「芸能人格付けチェック」みたいなことをすれば、きっと梅宮辰夫さん的な結果(失礼!)になるであろう私のことだから、何も知らなければ、ゴッホに見向きもしなかった可能性大。良い意味での「先入観」を与えて下さった芸術関係の皆様に感謝です。

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