笛のお伴「カキツバタの里」

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突然ですが、ここは北広島町八幡高原「カキツバタの里」

梅雨時に咲くカキツバタに魅せられる人は多く、この花の題材で有名な尾形光琳は、執拗にカキツバタばかり描いていた時期があったそうです。

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緑葉に浮かぶ鮮やかな紫に複雑な花弁、いつの間にか色んな角度から眺めてしまう魅力があります。また、湿原に群生するため蛙の声が聞こえ、さらに初夏の風に揺られるなどして誠に風流なのであります。

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ここ「カキツバタの里」は20万本ものカキツバタが植えられているということ。私が訪れた一昨日(6/5)は、残念ながら満開とはいかなかったものの、それはそれで結構な眺めでありました。

ところで、何故私ごとき不粋なものが、季節の花を愛でるなどという分不相応な所業に及んでいるかと言えば、以下の理由からなのでした。

①その日(6/5)は、「カキツバタ祭り」であった。

②その「カキツバタ祭り」のイベントにおいて、私の笛の師匠、福原一閒(フクハラ イッカン)先生が毎年演奏をなさっている。

③その一閒先生よりお手伝いを仰せつかった。

ということですね。

先生の演奏は、朝10時半前後。私は7時過ぎに出発し、他二名のお弟子さんと共に「カキツバタの里」まで来ちゃったわけです。

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さて、イベントが始まりました。先頭は地元の癒し系女性デュオ〇〇〇(名前は忘れてしまいました)。MCによれば、何と前日の夜、つまり前夜祭で急遽出演が決まり、番組に捻じ込まれたそうです。

前夜祭、飲めや歌えやで地元は相当盛り上がったんでしょう。そして、たまたまその場のノリで思いがけず出演が決まってしまった、ものの、ノリは翌朝すっかり消えていて、出演の現実のみが売れ残っている、だけれども、やるからには精一杯やり切りろうね!と二人で決意し合って登ったステージ、という顛末を想像してしまいました。

ところでこの女性デュオが披露された、ウクレレ伴奏による「カレーの歌」。

♪カレーはか・ら・い♪

♪カレーはおいしい♪

など、至ってシンプルかつ当たり前な歌詞が、のどかな高原の風景にほのぼのと響きました。

本日のお昼は「カレー」に決まりです。

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なぜなら、「カキツバタ祭り」では地元の方々が軽食を出店、つきたてのお餅に、うどん、炊き込みご飯、炭火焼き鳥、パンやお菓子、そしてカレーライスなど、様々に美味しい選択肢が用意されており、お昼に何を食べようか私少々迷っていたのです。しかし、「カレー愛」に満ち溢れた「カレーの歌」によって、揺れていた私の心はピタリと定まったのでした。

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福原一閒先生の演奏が始まりました。

いつも感じるのですが、先生の音色は、篠笛―乱暴に言えば竹に穴を空けただけのシンプルな楽器から出ているものとは思えないほど艶やかで多彩です。その音色が、湿原の穏やかな風の音、あるいは蛙や野鳥の声などと違和感なく溶け合い、まるで自然の恵みのように感じられます。

お手伝いの身ゆえ、一番間近で先生の笛を聴けたことは、いわば役得でありました。

因みに私は、先生の演奏による「荒城の月」及び、先生の小鼓による「三番叟」で、能管を奏させて頂きました。

尚、三番叟、能管など、平素耳慣れぬ用語が出てまいりましたが、説明は(面倒なので)省きます。よければググってみて下さい。

さて、三十分に亘る先生の演奏が終わりました。

緊張からの開放。湧きあがる空腹感。そしてカレーライス。八幡高原の豊かな自然に育まれたお米と野菜、そして水、美味しくないわけがありません。

ところで先生曰く、カレーは笛の大敵なんだそうです。

そのスパイスが唇に微妙な影響をもたらすのでしょうか。平素出る音も出なくなる危険性があるとのこと。故に演奏前のカレーは御法度。

しかし、今は演奏後。自由の身であります。

ところが・・・

スタッフさん「次はお昼の12時半くらいになります。続いてお願いしまーす。」

え?何が?先生、12時半から何かあるんですか?

先生「ごめんごめん、言ってなかったっけ。朝と昼と、ステージは2回あるんですよ^^」

え?もう一回あるんスか・・・じゃあ、カレー食べちゃだめですよね・・・

先生「食べちゃだめですよ^^」

朝食を抜いてやって来た私です。何も食べずに次のステージまで過ごすのはちょっと無理。

また、もしお昼の演奏が終わるまで食事を我慢したとしても、カレーが売り切れてしまっている可能性も十分あります。

ならば、その時の絶望感は半端ではないはず。

仕方なく、カレーは断念し、うどんに切り替えた、

と、そんなお話でした(長々とすみません)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • あ!紛らわしかったですね。私、もう1人の弟子の方です。
    私もあの日の晩御飯は頂いたお餅でした。(自分で丸めた・・!?)
    なんやかんやとお腹いっぱいになりました。
    美味しいお蕎麦と日本酒の会が実現しますように!

    • 弟子その1様
      飛び入りで、お餅を丸めるお手伝いをされていた方のお弟子さんでしたか!
      勘違い、申し訳ありません。
      お餅、とても美味しかったですね~僕もお腹一杯になりました。
      研修会(蕎麦を食べて日本酒を飲むだけという)、本当に楽しみです。

  • 演奏お疲れ様でした。
    篠笛と能管の音色に誘われて鳥たちも競い合って鳴いていましたね。
    カレーに強い想いを残しながら断念された隣でバクバク頂いてしまい、申し訳ございませんでした。
    期待通りの美味でございました
    管理人さま、きっと晩御飯はカレーなんだろうなぁ・・・と思いながら家路についた私でした。

    • 弟子その1様
      カレー、期待通りの美味しさだったんですね・・・
      (でも、甘い甘いって言ってませんでしたっけ?)
      その後みんなで食したお蕎麦についても、天ぷら盛りそばをチョイスしたりと、弟子その1様の食に対する「選球眼」には脱帽です。
      あの日の晩御飯は、主催者さんから戴いた、つきたてのお餅でした。
      そもそも帰ってからリベンジカレーを食べるなんて、何となく空しい・・・じゃないですか・・・
      ともかくも、当日はお世話になりました!そして、コメント有り難うございました!

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