スリランカ滞在記(14)異形の宮殿シギリヤロックの謎③

霜月に入りました。今年も残すところ二ヶ月。コートにマフラー、冬服の出で立ちで街を歩く人も珍しくありません。

のに、未だ真夏の旅行記をしつこく続けている私。反応の薄さに、ふと孤独と悲しみを感じることもありますが、初志貫徹なのであります。

恐らくPART30くらいまでは行くと思います。たとえ誰一人見てくれなかったとしても「完走」するのであります。

さて、シギリヤロックの切り立った垂直の岩壁に無理矢理くっつけた錆びだらけの螺旋階段(70年以上前の設置)を、もしかしたら崩落するかも・・・などの恐怖と闘いながら登りきった私は、晴れて「シギリヤレディー」達を目にすることができたのでした。

「シギリヤレディー」それは1500年前に岩肌に描かれた18体のフレスコ画。なんでも当時は500名の女性が描かれていたということですが、その殆どが積年の風雪で摩耗し、或いは人為的に削り取られました。

ガイドさん曰く、このシギリヤロックの宮殿を支配した王は、建築と絵画に造詣が深かったそう。何故なら王は低い身分の妾の子であったため、そういった身分の低い人民の領域に属していた建築や絵画に精通していた、とのこと。

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㊤は最も状態の良いと思われるレディー二人。腰の辺りの描き方を見ると、雲の中に立っているように見えます。絵は見上げるような高さに描かれているので、もしかするとそうなのかも知れません。とてもきらびやかな宝冠。向かって左の女性は髪も顔も黒い。腕、お腹もそうです。ただ胸部と上腕部は白いので、日焼けしているということなのでしょうか。そうすると写実的な描き方ということになります。なるほど向かって右の女性はなで肩で細身、ウエストは細いですがとても柔らかそうなお腹、手に花飾りをもって嫋やかな印象です。インドア派のお嬢ですね。それに比べて黒い女性は肩幅がっちり、肌には張りがあり、とても活発。アウトドア派のおてんばです。左耳のイヤリングの傾きが重力の存在を感じさせるため、さらにこの女性に動きが生じ、快活な印象を受けます。

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こちらも大変美しい。身体の輪郭には陰影が施され、且つ壁面の凹部を利用して描かれているためか遠近感があり、立体的に浮び上がってくるような視覚効果があります。目は生気を帯び、長く滑らかな腕と指先には優雅な動きが感じられます。色彩も豊かでとても1500年前のものとは思えません。本当にそのまんまなんでしょうか。修復したりしてないんでしょうか。

ところで、向かって左の方はお盆を持っており、どうやら従者のような立場と思われます。そして上半身、胸から上腕にかけて服を身に着けています。先ほどの黒い女性、丁度日焼けしていない部分が、こちらの女性の服の部分と重なるわけで、推測するに黒い女性もこの方同様、従者のような身分なのか・・・どうなんでしょう。

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この女性は壁の際にいらっしゃるので控えめかと思いきや、とても豊満な身体です。周囲は水のような色で覆われており、蕾の蓮の花が印象的に描かれています。もしかすると水を司る妖精のような存在かも。

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こちらはだいぶ傷んでおりますが、それでも迫力が凄い。あの宝冠の尋常ならざる大きさ、また向かって右手の方は従者でしょうか、お盆を持っています。小柄に描かれているため、左側の女性がやけに大きく威厳めいて見えます。恐らくとても高貴な方なのでしょう。顔の表情も大変な落ち着きようです。重厚な絵です。

その他、㊦写真のような女性たちが描かれていました。少々つかれたので解釈は省きます・・・

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さて、「シギリアレディー」堪能されましたでしょうか。

でも、彼女たち・・・

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こんな恐ろしい断崖の上にいるんです・・・

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眺めは良いですが・・・高すぎ(恐)

まさに「高嶺の花」ですな。

(続く)

 

 

 

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 久々に訪問したところ、夏に見かけたタイトル。「更新されてないのかな?」……

    ちがう!まだ続いているではありませんか!?オドロキです!
    そして冒頭の文に哀愁を感じ、10月まで遡って読ませて頂きました。

    とても真面目な内容のはずなのに、深夜に声を出して笑ってしまいました。

    順を追った写真の枚数と、記憶力にも驚かされますね…

    通りすがりの者が参加して良いものか迷いましたが、管理人様の心意気に感銘を受け、コメントさせて頂きました。

    シギリアレディー、気になります。

    • 通りすがり様、とても温かいコメント、感謝申し上げます。
      半ば意地で続けている「スリランカ滞在記」、きちんと読んで頂いただけでなく、私の心意気、そして哀愁まで汲み取って下さったとは望外の歓びであります。
      通りすがりのお方ゆえ、女性か男性かお若いのかそうでもないのか知る由もありませんが、軽妙なコメントをサラリと残してスッと立ち去るあたり、粋な方に違いないでしょう。
      まことに有り難うございました。

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