スリランカ滞在記(15)異形の宮殿シギリヤロックの謎④

かつて、広島宮島口には「ナタリー」という遊園地がありました。

昨今は東京ディズニーランドやディズ二―シー、或いは某メガバンクとどうしても名前を混同してしまう舶来もののテーマパークが台頭して久しく、地方国産遊園地の経営は立ち行かず軒並み閉園の憂き目に。

「ナタリー」も例外ではなく、既に20年ほど前に廃業。広島の子供は皆「ナタリー」に育てられたと言っても過言ではなかったあの時代は、今は昔となってしまいました。

ところで、その「ナタリー」には地元民も恐れる驚異の絶叫マシンがありました。と言っても、近頃のハイテクで完全制御された温室育ちの似非絶叫マシンのような軟弱なものではありません。驚異の絶叫マシン、即ち「ナタリー」のジェットコースターは、瀬戸内海沿岸という地の利(?)を活かし、そのコースの大半が海上に敷設されていました。無論、新設当初は何の問題もなかったのですが、鉄柱と塩水の関係は、いわば犬猿の仲、鰻と牛乳、渡部篤郎とRIKACO。経年劣化による錆びの浮立ちは凄まじく、海上でギシギシと軋みながら疾走するその様は、宙返りループなどの絶叫ギミックのないごくごく平凡なコースにも関わらず、リアルに崩壊の危険性を漂わせ、乗客に尋常ならざる「硬派な覚悟」を強要していたのでした。

と、「シギリヤレディー」に別れを告げた私は、戦時中に設置されたという錆びの浮き出た恐怖の鉄製螺旋階段を降りながら、そんなことを走馬灯の如く思い出していました。

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ちょっと、現在地を確認してみましょう。

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今私は、シギリヤレディーが描かれている場所と、鏡の回廊と言われる場所を繋ぐ階段を下っているわけです。

そして、降り立ったここが「ミラー・ウォール」、鏡の回廊。

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壁の周囲に境界が張られています。警備のおじさんも常駐。絶対に壁には触らせないという強固な意志を感じます。

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いや、さぼって?談笑しています。意外と「ザル」かも知れません。

さて、この鏡の回廊「ミラー・ウォール」は、シギリヤロックの頂上へと至るメイン通路なのですが、その漆喰のような壁に特色があるようです。

ガイドさん曰く、「ミラー・ウォール」はその名の通り鏡として使われていたんだそうです。1500年前、シギリヤロックに君臨した王は妾500名を抱えていました。もちろん選りすぐりの美女ばかり。そして彼女たちは、このミラー・ウォールに自らの姿を映しながら、美しく身だしなみを整えたというのです。

ほんとうですか(疑)。

ガイドさん曰く、「今でもウツルところがアルヨ。」

それはすごい!どこにあるんでしょう?これまで歩いてきた場所ではなさそうです。

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ここでもないようです。しかしながら、通路の磨き抜かれた床、壁の滑らかな美しさ、1500年以上たった現在でも朽ちることのない優れた技術を持っていたんですね。

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!!壁に光が反射している!!ものの、鏡そのもの、とはいきません。1500年前はツルツルに映っていたのでしょうか。だとするとこの回廊、周囲の岩壁(完成当初は彩色や絵画が施されていたという)や人の衣服、飾り物などが極彩色に映し出され、まことに煌びやかであったに違いありません(ガイドさんの言うことを信じるなら)。

豊なイマジネーションとそれを実現する驚異的な技術、それがシギリヤロックの凄いところです。

さて、鏡の回廊を通り過ぎました。

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本当に素晴らしい眺めです。超恐いですが(高所恐怖症)。

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路は上へ、更に上へと向かいます。

【続く】

 

 

 

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