スリランカ滞在記、「異形の宮殿シギリヤロックの謎」と題し実に6回目にして、漸くその頂上は宮殿跡へと辿り着いた私。
「漸く辿り着いたとは、なんと大仰な」と思われるかも知れませんが、高所恐怖症の私にとってその表現はごくごく控えめ。至極当然のことを言うようですが、高いところが苦手な人が高いところに行く辛さは、高いところが苦手な人にしか分からないのです。至極当然ですが。
特に、このシリーズを「大袈裟で、くどい」と評したKくんにはこの言葉をお歳暮替わりにお贈り致します。
「情緒とは、人の悲しみが分かる心」 by 岡潔
ご笑納ください。
さて、㊤の写真はシギリヤロック頂上から見下ろした風景。ジャングルの中心に切り拓かれた、あの道を通ってやって来ました(シギリヤロックの謎①参照)。
ところで、先述の情緒の薄いKくんから、有難い評価と併せて「君はシギリヤロックの謎と題して何やら書いているようだが、その謎とやらをまともに取り扱っているのは、最初の二回分だけではないか?失望したよ。」という旨のご指摘を受けました。はい、その通りでございます。気にはしてたんですが・・・
そこで、第三回から第六回まで謎を飛ばした分、この第七回目において、いきなりシギリヤロック最大の謎に迫りたいと思います。
【Qシギリヤロックの最大の謎】
㊤の写真をご覧下さい。何か違和感を感じませんか?
ここは王様の沐浴場。なぜ、標高約370mの岩上に水を湛えたプールがあるのか?
Qシギリヤロック頂上へ、水は如何にして運ばれたのか??
水を制するのは国土を制す。一切衆生の命の源。それがなければ、如何に豪勢な宮殿を建てようと、美女が500人いようと、岩山の上では生きていけません。そう、天空の宮殿を成立させるための一番の課題は「水」なのです。
一番:人に運ばせた
二番:雨水を貯めた
三番:頂上に汲み上げる技術があった
先ず、一番を選んだ方。人足を使って水を運ばせる。ごくごく平凡な答え。しかし平凡にこそ真理は宿る、みたいなことをお考えなのでしょうか。バツ。
二番。これは、正解とも言えます。実際、雨水をたくさん貯める工夫が随所になされているようです。しかしながら、前フリで「最大の謎」としてあるわけで。平凡にこそ真理は宿る、みたいなことをお考えなのでしょうか。バツ。
そう、答えは三番。「頂上に汲み上げる技術があった」のです!
ガイドさん曰く、シギリヤロックは1982年にユネスコ世界遺産に登録されました。そしてその最大の決め手となった一つが、頂上に水を汲み上げる技術だったのです(ガイドさん説)。
そのような井戸らしきものが二つ発見されており、また噴水の技術も確認されています(ガイドさん説)。
私「それは、つまり、技術的には一体どのような構造なのですか?」
ガイドさん「水を下カラ汲み上げてまシタ。」
「・・・いや、その汲み上げる仕組みはどんな仕組みだったんですか?」
「・・・仕組みワカラナイヨ。」
「・・・いや、でも、さきほど、水を汲みあげる技術で世界遺産になったって・・・」
「・・・ワカラナイけど、水を汲みあげる技術はアルネ。」
「・・・」
分からないのにどうして技術があると言えるんでしょうか(疑)
謎が更に謎を呼んだかたちになってしまいましたが・・・
ともかく、この天空のプール(ここはたぶんシンプルに雨水を貯めたものだと思います。平凡にこそ真理は宿るのです。)で、かつての王様は美女と共に水浴びを楽しんでいたのでしょう。贅沢も極まったり。
しかしながら、栄枯盛衰、盛者必滅、予言通り(シギリヤロックの謎⑤参照)、王様のお兄サンは、12年後、インドに亡命していた弟サンのリベンジに遭い、シギリヤロックはその異形とは裏腹に呆気なく攻略され、お兄サンは自害して果ててしまいました(ガイドさん説)。
その後、シギリヤロックは僧侶の修行場として寄進されたものの、いつしかジャングルに埋もれ、やがて人々の記憶から忘れ去られました。今から150年前、入植した英国人に再発見されるまでのことです(ガイドさん説)。
宮殿跡に茂る木陰で、登頂の疲れを癒す観光客たち。あの木はかつて1500年前の繁栄を目撃していたのでしょうか・・・・不思議発見。
いや、そんな古い木ではなさそうですね・・・
【続く】
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