スリランカ滞在記(18)異形の宮殿シギリヤロックの謎⑦

スリランカ滞在記、「異形の宮殿シギリヤロックの謎」と題し実に6回目にして、漸くその頂上は宮殿跡へと辿り着いた私。

「漸く辿り着いたとは、なんと大仰な」と思われるかも知れませんが、高所恐怖症の私にとってその表現はごくごく控えめ。至極当然のことを言うようですが、高いところが苦手な人が高いところに行く辛さは、高いところが苦手な人にしか分からないのです。至極当然ですが。

特に、このシリーズを「大袈裟で、くどい」と評したKくんにはこの言葉をお歳暮替わりにお贈り致します。

「情緒とは、人の悲しみが分かる心」 by 岡潔

ご笑納ください。IMG_6773_1600

さて、㊤の写真はシギリヤロック頂上から見下ろした風景。ジャングルの中心に切り拓かれた、あの道を通ってやって来ました(シギリヤロックの謎①参照)。

ところで、先述の情緒の薄いKくんから、有難い評価と併せて「君はシギリヤロックの謎と題して何やら書いているようだが、その謎とやらをまともに取り扱っているのは、最初の二回分だけではないか?失望したよ。」という旨のご指摘を受けました。はい、その通りでございます。気にはしてたんですが・・・

そこで、第三回から第六回まで謎を飛ばした分、この第七回目において、いきなりシギリヤロック最大の謎に迫りたいと思います。

【Qシギリヤロックの最大の謎】 

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㊤の写真をご覧下さい。何か違和感を感じませんか?

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ここは王様の沐浴場。なぜ、標高約370mの岩上に水を湛えたプールがあるのか?

Qシギリヤロック頂上へ、水は如何にして運ばれたのか??

水を制するのは国土を制す。一切衆生の命の源。それがなければ、如何に豪勢な宮殿を建てようと、美女が500人いようと、岩山の上では生きていけません。そう、天空の宮殿を成立させるための一番の課題は「水」なのです。

一番:人に運ばせた

二番:雨水を貯めた

三番:頂上に汲み上げる技術があった

先ず、一番を選んだ方。人足を使って水を運ばせる。ごくごく平凡な答え。しかし平凡にこそ真理は宿る、みたいなことをお考えなのでしょうか。バツ。

二番。これは、正解とも言えます。実際、雨水をたくさん貯める工夫が随所になされているようです。しかしながら、前フリで「最大の謎」としてあるわけで。平凡にこそ真理は宿る、みたいなことをお考えなのでしょうか。バツ。

そう、答えは三番。「頂上に汲み上げる技術があった」のです!

ガイドさん曰く、シギリヤロックは1982年にユネスコ世界遺産に登録されました。そしてその最大の決め手となった一つが、頂上に水を汲み上げる技術だったのです(ガイドさん説)。

そのような井戸らしきものが二つ発見されており、また噴水の技術も確認されています(ガイドさん説)。

私「それは、つまり、技術的には一体どのような構造なのですか?」

ガイドさん「水を下カラ汲み上げてまシタ。」

「・・・いや、その汲み上げる仕組みはどんな仕組みだったんですか?」

「・・・仕組みワカラナイヨ。」

「・・・いや、でも、さきほど、水を汲みあげる技術で世界遺産になったって・・・」

「・・・ワカラナイけど、水を汲みあげる技術はアルネ。」

「・・・」

分からないのにどうして技術があると言えるんでしょうか(疑)

謎が更に謎を呼んだかたちになってしまいましたが・・・

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ともかく、この天空のプール(ここはたぶんシンプルに雨水を貯めたものだと思います。平凡にこそ真理は宿るのです。)で、かつての王様は美女と共に水浴びを楽しんでいたのでしょう。贅沢も極まったり。

しかしながら、栄枯盛衰、盛者必滅、予言通り(シギリヤロックの謎⑤参照)、王様のお兄サンは、12年後、インドに亡命していた弟サンのリベンジに遭い、シギリヤロックはその異形とは裏腹に呆気なく攻略され、お兄サンは自害して果ててしまいました(ガイドさん説)。

その後、シギリヤロックは僧侶の修行場として寄進されたものの、いつしかジャングルに埋もれ、やがて人々の記憶から忘れ去られました。今から150年前、入植した英国人に再発見されるまでのことです(ガイドさん説)。

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宮殿跡に茂る木陰で、登頂の疲れを癒す観光客たち。あの木はかつて1500年前の繁栄を目撃していたのでしょうか・・・・不思議発見。

いや、そんな古い木ではなさそうですね・・・

【続く】

 

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