スリランカ滞在記(33)

祝一周年!

そう、1年前の8月27日、私は5泊6日のスリランカ旅行を終え、無事、大和の土を踏むことが出来たのでした。

そして、その興奮冷めやらぬ9月1日に始めたのが、この「スリランカ滞在記」。

あれから秋が過ぎ、冬を越え、春を迎え、夏を過ごし、いつの間にか1年が経とうとしています。

先日、御世話になっている方から、久々にこのブログを開いてみたら「スリランカ滞在記」がまだ続いているので思わず椅子から転げ落ちた、とのメールを頂きました。

極めて妥当なリアクションであります。

しかも、5泊6日のまだ四日目。まだメインディッシュにも至っておりません。

一体何なんでしょう、この滞在記・・・

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さて、ここはマータレー「アル・ビハーラ」の僧院内。まだあどけなさの残る、人懐っこい笑顔の少年僧が出迎えてくれました。我々一向は、これからこの街一番の高僧と面会します。

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謁見室でしばらく待機していると、やって来られました。このスマイリーな方が件の高僧であります。

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おやおや、タコ糸のようなものが、全員の手に渡されました。

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高僧の手を発端とし、一本の糸で全員が繋がりました。

そして高僧は経文を唱え始めました。

お経の「経」は、インドの言葉で「スートラ」と言い、「縦糸」のことです。「経」の字も、地球儀の「経線」のように「縦」という意味があります。

糸は経典を結ぶ綴紐となりますが、バラバラのページを秩序立ててまとめる役割を持つため、そこから「み教えを一貫させる」という意味が見出されます。

織物においても、縦糸は端から端まで貫かれており、ヨコ糸は縦糸を手掛かりに絡め、色んな柄を織っていくそうです。

おそらく私たちに手渡された糸には、そんな「スートラ」の意味が込められているのでしょう。

国も文化も人種も違うけれども、我々は仏法に貫かれ繋がっているのです。

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経文を唱え終わると、紐は分けられ一人一人の手首に巻かれました。

ミサンガを想起させますが、ガイドさん説によると「魔除け」だそうです。

占い、迷信を否定する浄土真宗とは立場を異にする考えですが、我々を大切にもてなしてくださっている気持ちが伝わってきました。

IMG_7086_1600しばしの面会を終えると、高僧は僧院の奥へと戻って行かれました。

ところで、この寺院「アル・ビハーラ」は古い経典を蔵していることで有名(らしい)。

僧院の傍にある蔵には、たいそう古めかしい経典がケースの中に収められていました。

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上の写真がそうですが、中ほどに二つの丸い穴が空ています。おそらくそこに先ほど触れた「縦糸」を通して経典を綴じていたのではないでしょうか。

ちなみに経典に使われているのは紙ではなく「パピラ」という椰子の葉っぱで作られた物で、とても丈夫なものらしいです。なんと2000年前の経典もしっかりとした状態で保管されているとか。

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その「パピラ」への刻字を、蔵の管理人さんが実演してくれました。有料で。

①まず、パピラに文字を刻みます。

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②おそらく炭でしょう。刻んだ文字に刷り込みます。

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③最後は何かの白い粉で磨き上げる。

とても根気のいる作業ですが、その効果は確実に2000年以上有効。

スリランカの、先人の知恵と技術に脱帽です。

【つづく】

 

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